6.恋人(Ⅵ.The Lovers)の意味、解釈、リーディング
【恋人】のカードのテーマは“他者との関係”と“人生の選択”です。
その理由はふたつ。
①ひとつめは、カードに登場する人数。
【恋人】のカードには“正面を向いている2人の人物(&天使&蛇)”が描かれています。これまでのタロットカードは、“正面を向いている1人”という構図でした。
ちなみに
【法王】のカードには背を向けた2人の聖職者が描かれていました。しかしそこには肌と肌が触れ合うような、魂が震えるような関りはありません。
②ふたつめは、絵のモチーフが旧約聖書創世記「アダムとイブ(エデンの園)」であること。
このふたつを軸にカードを紐解いていきましょう。
大アルカナ | 6番 |
宇宙観 ※諸説あり |
双子座(理解する、コミュニケーション、発する前に観察し受け入れる) |
カードからのメッセージ | 【恋人】のカードに、なぜ天使が描かれているのでしょうか?「お天道様が見てござる」という言葉がありますが、この場合は「大天使が見てござる」ですね。お天道様とは太陽=神様や天使ですが、自分の良心(内なる神)でもあります。 |
キーワード・キーセンテンス
恋人の逆位置
逆位置では、上記のキーワード・キーセンテンスのエネルギーがうまく流れていない状態や過不足を意味します。
一時的な快楽
軽率、その場しのぎ、無責任
自分が選んだ道に納得できない
不誠実な言動
優柔不断な態度
代償のある快楽
依存や不義(裏切り、不倫など)
神や自分自身の良心に祝福されない行為・関係
間違った選択
無駄遣い、浪費
過干渉
【恋人】のカードが出たら、恋愛であれ仕事であれ金運であれ、まずは“関係”について考えてみてください。
自分とパートナーとの関係、自分とお金の関係、自分と会社の関係が健全な状態か、お互いが心地よい状態なのかがポイントです。
中央の天使は、ミカエルともラファエルとも言われています。
神はミカエルに命じて二人をエデンの園から追放させましたが、アダムがエデンの園で暮らしていた頃から農作物を作る方法などを教えていました。追放後も種を与えたり、イブの出産を支援したりと、ふたりの指導役であったことが伺えます。
しかしながら、この天使はラファエルであるという説もあり、この場合は旧約聖書続編「トビト記」の知識が理解に役立ちます。
コラムページで「アダムとイブ(エデンの園)」と「トビト記」の簡単なあらすじをご紹介していますのでぜひご覧ください。
おそらく、ミカエルかラファエルかは重要ではなく「彼らは決して見放された存在ではない」ということを表現しているのではないでしょうか。
絵に注目してみましょう
裸の男女……旧約聖書の創世記「エデンの園」に登場するアダムとイブ(エバ)/「トビト記」のトビトとサラとも重ねることができます。
太陽と天使……神と天使(ミカエル説とラファエル説あり)。
ミカエルは二人の指導役であったのではないかということはすでに書いたとおりです。この天使の翼・羽が赤いことからもミカエル説を見かけます。(ミカエルは火、赤色、南方位に関連付けられているため)
ラファエル説も見られます。ラファエルは癒し、薬、旅、悪霊・悪魔祓いの守護天使です。
女性……イブ(エバ)。
神はアダム(男性)を造りました。しかし、「人が独りでいるのはよくない。助け合い支え合えるように」と、イブを造りました。
男性……アダム。神が最初に造った人。
蛇と善悪の知識の木……楽園の中央に生えている善悪を知る木の果実は食べてはいけないと神様に言われていました。しかし、楽園で最も賢い蛇にそそのかされたイブは……「アダムとイブ」へ
生命の木……この木の果実を食べれば永遠の命が得られます。しかし、楽園を追放されたふたりは生命の木に近づくことも許されませんでした。
背景に描かれている険しい山……何不自由なく暮らしていた楽園を出て、食べ物を得る苦労や出産の痛みなどを、ふたりで力を合わせて生きていくことを表現しています。
三角形の構図について
【恋人】のカードの構図ですが、【法王】の構図と少し似ていると思いませんか?
【恋人】
【法王】
【教皇】では、中央の教皇と左右の聖職者の位置によって三角形が造られています。また、神殿の柱がしっかりと支えている構図になっていることで、神・キリスト・聖霊(私たち人間の高い霊性を指す)の三位一体が表現されています。同時に、影響を一方的に与える立場・受ける立場が明確な構図です。
後に【悪魔】のカードが登場しますが、【教皇】【恋人】【悪魔】のカードを比較してみると非常に興味深いです。
【恋人】のカードでは、中央の天使に見守られている二人の構図で三角形を形成しています。
①大天使は神の意思により、恋人たちを見守っています。
②天使を見ている女性(イブ)は、高い霊性や高次の存在とのつながりを備えています。
③女性を見ている男性(アダム)は、生活を生きる現実性(=グラウンディング=今ここを生きる)を備えています。
スピリチュアルなことに関心が強い方や直観・霊感のある方は、グラウンディングが弱くなりがちです。必要以上に神秘的なことに近づきやすかったり、あるいは、素直で優しいがゆえに悪魔的な人に利用されたりする危うさも持ち合わせています。
旧約聖書にある「エデンの園」のエピソードはこちら「アダムとイブ」より読むことができます。
エデンの園を追放された後、ふたりは生きるために大変な苦労をすることになります。天使は、その後のふたりも見守り続けます。
アファメーション
まとめ
生きることは、すなわち、関わる・コミュニケーション・選択です。アダムとイブの道のりは、私たちの経験です。親の庇護のもとで育った無垢な子どもが、やがて青年になると家や育った町を飛び出し、いろんな人々と関り、コミュケーションを取り、様々な選択をしていきます。
参考