5.法王 (教皇/Ⅴ.The Hierophant)

大アルカナ22枚

5.法王 (Ⅴ.The Hierophant)の意味、解釈、リーディング

5.法王 (Ⅴ.The Hierophant)

5.法王
(Ⅴ.The Hierophant)

法王は地上におけるイエス・キリストの代理人です。

つまり、法王のテーマは指導者です。しかしながら、法王は個人的な指導者という雰囲気よりも組織的ですので、継承、伝統、威厳といったものが強く表れています。

法王(あるいは教皇)と言えば、ローマ法王を思い浮かべる方が多いでしょう。とはいえ、このカードはローマ法王そのものを指しているわけではありません。
霊性の向上から生活全般についての偉大な指導者と捉えてみてください。

 

大アルカナ 5番
宇宙観
※諸説あり
おうし座(所有、財産、女性性を連想させる保守的な姿勢)
カードからのメッセージ 法王は神ではありません。あくまでもイエス・キリストの代理として、神と人のあいだに立つ存在です。しかしながら、その立場は神の側にありますから指導者(教師)なのです。

何かと何かのあいだ(昼と夜、顕在意識と潜在意識etc)にいる女教皇のページもお読みください。

キーワード・キーセンテンス

指導、教え、導き、勉強、常識、ルール
斬新なことをするよりも伝統、昔ながらのやり方
公共、公衆
慣例、保守的
道徳心、人徳、
慈悲、祈り
人生の節目、儀式
援助、支援、施し
単独行動や一匹狼ではなく、チームワークを大切にする
女性的な父性(実際の性別ではなく、飽くまでもイメージとしての女性的であり、父性のこと。知恵を授ける・知識を与える・見守る)
偽善
洗脳、支配、コントロール

法王のカードは公正で冷静な判断ができ、道徳心のある相談先や機関を指すことがあります。また、自分自身もそのように振舞うことでトラブルを回避できるでしょう。

仕事の悩みでも恋愛の迷いでも同じです。今は、愚痴を言い合う友人や、なんでも肯定してくれる人を頼るときではありません。悪いところを指摘してもらい、気づき、受け入れ、改めるときです。

法王の逆位置

逆位置では、本質を見ようとせずに慣例にただ従ったり、盲目的になっていたりしないか自問自答してみましょう。また、正位置の意味に滞りや困難さが見える状態です。
常識やルールとの距離が近すぎたり、遠すぎたりして不健全な状態なのかもしれません。

視野が狭くなっていませんか?
実は猜疑心を抱えていませんか?
裏切りや不誠実はありませんか?
メサイアコンプレックス(救世主妄想)に囚われていませんか?
ルール絶対主義になっていませんか?
ルールや常識に息苦しさを抱えていませんか?
偽善や独善的な態度になっていませんか?
リーダーとして組織をまとめられていない状況ではありませんか?
神様に見られても恥ずかしくない行いですか?

優しさや愛も、押しつけになると暴力に近いエネルギーになってしまいます。
他者のことが気になって仕方ない時は、自分こそがグランディングとセンタリングが必要なときです。

実占例では、夫婦の愛情問題を占った際に、「家庭が安らぎの場ではなく、息苦しい場」の象徴として法王の逆位置が出たケースがありました。

 

ワンポイントアドバイス:
法王のカードは、まずは『高いところからの視点を持つ。神のような高次の目線で見る』ことを促しています。
神の視点という表現にピンとこなければ、ハイアーセルフ守護霊魂の親といった言葉に置き換えてみるのもいいでしょう。

絵に注目してみましょう

5.法王 (Ⅴ.The Hierophant)

5.法王
(Ⅴ.The Hierophant)

左右の柱……大いなる神殿、大聖堂といった「継承と伝統の聖なる場所」を表します。天国と地上のあいだにいる法王を表現しているという見方も。


……教皇冠、あるいは三重冠。教皇のシンボル。天国、煉獄、地上の教会を表していると言われています。


左手に持つパパル十字……この三連の十字は三位一体を表します。三位とは父(神)と子(キリスト)と聖霊(日本人の感性では、聖霊という言葉よりも高い霊性などといった表現の方がしっくりくるかもしれません)のこと。


右手……ふたりの聖職者に祝福を与えています。スピリチュアル性


ふたりの聖職者……赤いバラ、白い百合が描かれた衣服を着用している聖職者。赤いバラはキリスト教における象徴としては殉教を、白いユリは純潔、無垢、清廉を表します。ザビエルに馴染みのあるトンスーラという頭髪は頭頂部を剃髪したもの。


ふたつの鍵……ペトロがイエスに授けられた天国の鍵。聖書にはこのように書いてあります。「あなたが地上でつなぐものは天でもつながれ、地上で解くものは天でも解かれるのである。」この鍵によってペテロは地上を治め、それはすなわち正統性と権威性の象徴であると言えよう。


三位一体……中央の法王、左右の聖職者の位置が三角形を造っています。そして、法王の両サイドには神殿を支えるふたつの柱。この絵の中には、神(父)、キリスト(子)、聖霊(私たち人々にある高い霊性)の3つが安定して存在しています。

カードの中に入り込んでみましょう

女教皇の構図を思い出してください。同じように左右に柱があり、その真ん中に法王が描かれています。

2.女教皇(2.The High Priestess)

2.女教皇(2.The High Priestess)

5.法王 (Ⅴ.The Hierophant)

5.法王
(Ⅴ.The Hierophant)

しかし法王の後ろに描かれている柱は女教皇のカードに描かれた「黒と白」「こちらとあちら」「太陽と月」といった二元の象徴というよりも、大いなる神殿・大聖堂そのものを描いており「継承と伝統の聖なる場所」を表しています。

法王は左手に三位一体を表すパパル十字を掲げ、右手の人差し指と中指を伸ばし、目の前の聖職者(双子という説もある)に祝福を与えています。

その表情には個人的な考えや好悪ではなく、神の代理として考え、発言し、行動をするのだという強い意思があります。

女教皇との違い:
女性的か男性的かということもありますが、女教皇が個人として精神世界の学びや気づきを深めるイメージであるのに対して、法王はその学びや気づきを組織的に行ったり、発信力の強さや共有していくイメージです。

 

女教皇のカードには二元的な意味がありましたが、法王の二元的な意味合いは女教皇のそれとは違います。
法王のカードは「天国と地上」という二元的世界観があり、また、組織内の上下関係や指導者と追随者(先生と生徒)といった関係をも表しています。

5.法王の世界観

法王のカードはおうし座に対応しているのですが、ここに著者は「衣食住足りて礼節を知る」という言葉を思い浮かべます。飢えや貧困、不安定な生活のさなかで、高い霊性・健全な精神を保ち続けていられる人がどれくらいいるでしょう?

私たちは、おうし座が象徴する「温かく美味しい食事、安定した快適な生活」といった現実的な土台が必要です。そして、貧しく、飢えて、寒さに凍える人にこそ、教会はおうし座の要素である安心感を施す場所でもあります。

アファメーション

私は、内なる指導者(ハイアーセルフ)が与える気づきを受け入れ、祈ります。いつも私の心が愛に開かれていますように。こどものように素直な気持ちで、花のように自然体で光の方を向いていますように。

まとめ

キリストからペテロへ、ペテロからまた次の神の代理人へと継承されてきた天国の鍵。平和と秩序のための「教え」ですが、現実には、宗教倫理が私たちの幸せとは相容れない立場を採ることもあります。法王のカードは「専門家(指導者、先生)の教え」という意味がありますが、導く立場であれ生徒の立場であれ、いずれの立場も精神性が問われます。

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