7.戦車(Ⅶ.The Chariot)

大アルカナ22枚

7.戦車(Ⅶ.The Chariot)の意味、解釈、リーディング

07.戦車(Ⅶ.The Chariot)

07.戦車(Ⅶ.The Chariot)

タロットカードの絵には「不思議だなぁ」と思うものがいつくかありますが、この戦車のカードの絵もそのひとつです。

戦車といえば戦闘用の馬車なのですが、この戦車は馬ではなく2頭のスフィンクスが配置されています。

戦車に乗っている男性の下半身は戦車と一体化しているように見えます。そして、スフィンクスには手綱がかかっていません。

また、戦車というからには通常はなんらかの武器を手にするはずですが、彼が手にしているのは笏(しゃく)です。

女のスフィンクスは、通行人に謎解きを仕掛け、解けない人間を食べてしまう幻獣としてギリシア神話に登場します。

大アルカナ 7番
宇宙観
※諸説あり
蟹座(自分のテリトリーを外敵から守る)
カードからのメッセージ 【戦車】のカードからは戦闘そのものの雰囲気を感じません。このカードは聡明で勇敢な若者の挑戦と勝利を讃えています。そして、カードの絵柄が繰り返し教えてくれていることは「前進」と「バランス」です。

キーワード・キーセンテンス

勝利のための行動・戦い
道を外さずに進むためには左右のバランスが重要だが、不要なものをバッサリと切り捨てることも重要
集中、強い目的意識
冷静さと情熱、知識と行動力の両方を発揮する
欲におぼれず自制心ですすむ
勝利(克服する、試練に打ち克つ)
これまでのテリトリーから出ていく、進出、進む、前進、挑戦
コントロールする・自制心
積極的に打って出る
「座して死を待つよりは、出て活路を見出さん」諸葛孔明
停滞させない
スピード感

戦車の逆位置

逆位置では、上記のキーワード・キーセンテンスのエネルギーがうまく流れていない状態や過不足を意味します。

バランスを欠く、バランスを失う
集中力が足りない
何かが偏る(視野・思考・感情・知識など)、偏見、思い込み
敗北・失敗
欲に負ける
情緒不安定・忍耐力の欠如・優柔不断
我の強さ・自分勝手
停滞・悩む
暴走・衝動的

 

ワンポイントアドバイス:
スフィンクスには手綱がついていません。もし、それぞれが違う方向に走り出してしまったらどうなるでしょう!?
私たちは勝利を目指して行動するときこそ、広い視野とバランス感覚を持って自分の心や欲望を御していかねばなりません。

絵に注目してみましょう

07.戦車(Ⅶ.The Chariot)

07.戦車(Ⅶ.The Chariot)

星と月桂冠……若者の頭には星の冠が輝いています。希望と理想、信念です。それらは若者を導くかのよう。巡ってきた機会を見失わない強い意志を感じさせます。


両肩の月……右肩の月は笑顔、左肩の月は怒り顔。両極端な感情を象徴することで二元性を表しています。勝負のときこそ感情に振り回されず、安定した(胸の四角形は安定を表す)精神が大事です。


スフィンクス……右のスフィンクスは白、左のスフィンクスは黒。この白と黒の配置は女教皇のカードと同じです。両肩の月のように、ここでも繰り返し二元性を表しています。女教皇のページ

古代エジプトにおいてスフィンクスは、「あの世」「冥界」の入り口の守護者としての信仰がありました。また、謎解きに正解できなかった人間を食べてしまうギリシア神話からも「知識」と「死」を連想させます。つまり、若者は知識と死を従えているのです。

このスフィンクスの背後にあるのは死者が眠る墓ではなく、生者が暮らす城です。


戦車の天蓋、衣服……全体的に薄いブルーは、ここでも高い精神性と叡智の女教皇を思い起こさせます。星は希望であり、暦(命の周期を知るための印)であり、位置を示す道しるべです。

戦車といえば、勝負やエネルギッシュな赤い色が使われてもいいのではないと思うのですが、目立つところに赤い色が使用されているのはコマ(あるいはシヴァリンガム)のみです。


コマ……繰り返し暗示されている二元性のバランスを取ります。生と死、善と悪、昼と夜など、相反するもののように見えますが、決して分離したものではなくそれらは一体です。コマは回る速度が落ちるとどちらかに傾き、やがて止まります。さながら命の鼓動のように、エネルギーに満ちたコマはバランスを保ちながら回転し、高みを目指します。

また、これはコマではなく、シヴァリンガムであるという説もあります。インドのヒンドゥー教でシヴァ神の御神体として祀られているのがシヴァリンガムです。
リンガという男性器の象徴、ヨーニという女性器の象徴が一体となったその石像は陰陽の一体化ですとか、両極の融合といった信仰となっています。このシヴァリンガムの象徴から、この若者がシヴァ神のような力があると表現されているのです。

その上には翼が生えている黄色い球体が描かれています。統合性や、飛翔を予感させる壮大なシンボルがここに描かれています。こちらはまるで太陽神を讃えているようです。


背後の川……戦車の背後にある川は女教皇のカードにあった叡智の泉です。背後に描かれていた海(湖)を覚えているでしょうか。あの泉は女帝のカードにも川となって流れ出していました。さらには、皇帝のカードにも流れていました。精神(女教皇)→個々の肉体(女帝)→組織を形成する社会(皇帝)、そして、新しい未知の外界へ進出しようとする「戦車」のスピリットにも内なる神・女教皇は宿っているのです。


背景の城……戦車の若者は城を背にし国境を臨んでいますから、その心も体も国の外へと向かっています。ここで、皇帝のカードを思い出してみましょう。皇帝の背後に見えたのは険しい山でした。皇帝は国境から王国を見守っていましたが、戦車の若者は果敢に外へ出て行きます。


女教皇のカードと皇帝のカードと見比べてみましょう

絵の説明で触れたとおり、戦車のカードと女教皇のカードと皇帝のカードも眺めてみると共通点の発見があります。

【女教皇】

2.女教皇(2.The High Priestess)

【皇帝】

4.皇帝(Ⅲ.The Emperor)

凱旋式で勝利者を讃えている構図

高い知性を持ったスフィンクス。謎解きの答えがわからなかった通行人を殺してしまう幼獣としてギリシア神話に登場します。また、謎の多いスフィンクスですが墓守や冥土の守護・見張りといったイメージが定着しています。

そんな「知性と死」を象徴するスフィンクスを馬の代わりにし、神通力で走行させているということは、この若者は聡明であり、ことごとく死を引き下がらせる戦いぶりを見せたのでしょう。

きっとこの若者は恐怖に呑み込まれることも、慢心によって油断することもないでしょう。勝利者を讃えることで、「戦いの真の相手は己である」ということを私たちは知るのです。

アファメーション

私は、私の意志の御者です。開かれた精神によって得られる知性と湧き上がる情熱の両輪で進みます。

御者(ぎょしゃ):馬車などを操る人。動物が引く乗り物を運転・操作する人。

まとめ

勝負に打って出る、挑戦する時は視野が狭くなりがちです。また、何か・誰かを守ろうとするあまり、排他的になったり攻撃的になったりすることも。戦車の若者からこんな言葉が聴こえてきます。「勝利とは相手を負かすことではなく、己に打ち克つことである」

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