8.力(Ⅷ.Strength)の意味、解釈、リーディング
「力」という文字から腕力、力持ち、タフさ、強度を連想することが多いかもしれません。しかし、Strength(ストレングス)のカードは、「もともと持っている才能や資質としての強み」、または、「精神的な強さや心の力、意志の強さ」を表します。
そういった「力」は、困難の最中にあっても自分を見失わない「強さ」です。
己の弱さをよく知っているからこそ、己の欠点を慈しむからこそ、この「力」のカードは強いのです。
大アルカナ | 8番 |
宇宙観 ※諸説あり |
獅子座(情熱、自己) |
カードからのメッセージ | 自分にはそのような「力」など在るわけが無い…と思っているのなら、それは間違った認識です。そうです、その「思い込み」や「恐れ」も、このカードに描かれているライオンなのです。 |
キーワード・キーセンテンス
実占例
自分に対する管理だけでなく、仕事においてもマネジメント上手な人に出ることがあります。寄り添ってトレーニングをすることが得意な人や、精神的にパートナーを支えつつ、上手に導いている人にこのカードを見ることも。
また、長年の夢である事業を始めようとされていた方の意気込みとして「誘惑に負けていられない!」という強い意志の表れとしても出ました。
自分の力に気がついて!
自分の能力を信じてごらん。
そのようなメッセージとしても現れる場合があります。
力の逆位置
逆位置では、上記のキーワード・キーセンテンスのエネルギーがうまく流れていない状態や過不足を意味します。
うわべだけできているように取り繕う
制御できていない
気持ちが負けている、卑屈になっている
尽くしすぎている
自己嫌悪、自己否定、自己不信
自己中心的、強引、わがまま
怒りや嫉妬、憎しみなどの感情に飲み込まれる
排除する、意地悪
このカードは感情的な自分、扱いにくい自分を抑圧・抑制するという意味のカードではありません。
自分の弱さや欠点を受け入れることが“癒し”の道の始まりです。インナーチャイルドの癒しと同じく、大人の(今の)自分が、子どものころに育つことができなかった自尊心に気づいて、受け入れ、一緒に育てることです。
絵に注目してみましょう
頭上の無限大マーク……魔術師のカードにも描かれている無限大のマークは限界の無いことを象徴しています。
何も持たない穏やかな女性……なんの道具も持たず素手でライオンの信頼を勝ち取った女性。魔術師は道具を使って世界に変化を生み出しましたが、この女性はその精神力で内なる世界に可能性を作り出しているのです。
白いドレスと赤いライオン……何色にも染まらない潔白さや神性を表す白いドレスと、本能・活力・生命力・攻撃性を表す赤いライオンの組み合わせが目を引く配色です。
白い衣服を着用しているところも、魔術師のカードと共通しています。
ライオンの尻尾はお腹の下に仕舞われ、信頼による服従を表しています。
花による結びつき……鎖でつながれた関係(脅しや腕力)ではなく、花の環による結びつきは友愛や情、信頼の証です。
背景の山……遠くに見える高い山は、この女性がここに至るまの道のりが決して一朝一夕ではなかったことを表しています。
他に山が描かれているカードは愚者と恋人たちがあります。愚者の背景に見えた険しく切り立った山は神が宿る山として描かれています。
恋人たちの背景にある山はどこか荒々しく険しい様相を見せ、ふたりが歩む現実社会は甘くないことを表現しています。
黄色い背景……黄色に輝く背景は、祝福や守護など神性、エネルギーに満ちています。冒頭に書いた「もともと持っている才能や資質としての強み」「精神的な強さや心の力、意志の強さ」を、私たちは意志と自律によって発露させることができます。
著者は、右は現実社会や生活、左は神の領域やスピリチュアルと考えていますので、この女性とライオンはともに手を取り合って現実社会を生きていくのです。【左右の向きについて】
■愚者の例
■女帝の例
■皇帝の例
荒魂(あらみたま)と和魂(にきみたま)
日本の神道には、荒魂(あらみたま)と和魂(にきみたま)という考えがあります。例えば、同じ海でも荒れた海と、穏やかに凪いだ海と、その表情はまるで違います。同一の神でありながらまったく反対の顔を持ちますが、それは人間も同じです。
どちらか一方を排除することは自然に反することでもあります。しかし、激情に呑み込まれ我を失ってしまっては自分も他人も傷つけます。自分を律することの偉大さを知るカードです。
アファメーション
まとめ
清廉潔白な人は存在しません。誰しもが欲望に振り回されたり、衝動的な感情で失敗したりしています。それが人間です。どんなに自分にうんざりしたとしても、「私は私を見棄てない」という自分への決意と慈愛の力をこのカードは教えてくれます。