9.隠者(IX.The Hermit)の意味、解釈、リーディング
外套をまとった老人がランタンを掲げ、長い杖を持ち、一人立っています。
山の頂で内省しているようにも、悟りを開きつつあるようにも見えます。
『己を知れ』とはよく聞く言葉ですが、隠者のカードはこう言っています。「己を知りなさい。そして、己を越えなさい」
隠者のカードの意味は、研究や熟考などですが、ただ単に考えるだけならば、ランタンも杖も不要です。このふたつが在るのはなぜでしょうか?
大アルカナ | 9番 |
宇宙観 ※諸説あり |
おとめ座(思考、熟考) |
カードからのメッセージ | あなたは自分の限界を越えられます。あなたのなかに積み重ねてきた経験と知恵を燈しなさい。人生を探究するときです。 |
キーワード・キーセンテンス
隠者の逆位置
逆位置では、上記のキーワード・キーセンテンスのエネルギーがうまく流れていない状態や過不足を意味します。
孤高ではなく孤独、心を閉ざす
偏屈、頑固、思い込み
自意識過剰、他者を見下す
学問や知識を鼻にかける、ひけらかす
引きこもる、シャットアウト
偏った見方、偏った知識
排他的、視野の狭さ
きちんと考えずに行動する
慎重になりすぎる
じつのところ、さして深い洞察がない人が雄弁に語る、ということは往々にしてあるものです。よく知っている人こそ沈黙する…それもまたひとつの知恵ですが、その知恵を自分のため、人のために生かすことが「徳」なのです。ランタンの燈火と黄金色に輝く杖は智慧と経験による導きであり、けっして机上の空論ではありません。
絵に注目してみましょう
外套……禁欲的さの象徴、自己と外界の精神的な境界、自然の中に自分を溶け込ませる時間を持つ
ランタンのなかの六芒星(ヘキサグラム)……男性性(△、陽、上昇、火、熱)と女性性(▽、陰、下降、水、寒)のエネルギー融合の象徴である六芒星が輝きとなっている。調和。
杖……暗いなかで黄金に輝く長い杖は、あなたのこれまでの経験やエネルギーを人生のために具現化する際にきっと役立ちます。
白い山……いと高きところにある、生き物のいない世界観。瞑想の場。神の視点や鳥瞰の観点を得る場。
9という数字
9という数字は、10という次の段階(次の次元)へ進む数字の前ですから、これまでにおけるひとつの到達点です。10は完全形でありながら次の始まりを含みます。10には次の段階、次の世代へ継承されていく予感を含んでいます。すなわち9は、あなたにできることの到達点です。ベストを尽くしたら、己のこだわりを昇華させる気概を持つことを意識してみるのもいいでしょう。
アファメーション
まとめ
経験も歴史も、「今、ここ」の判断と決断のために生かすもの。いと高き山頂から、神の視点・鳥瞰を持ってしばし考えたら、山から降りて行動する時です。