11.正義(XI. Justice)

大アルカナ22枚

11.正義(XI. Justice)の意味、解釈、リーディング

11.正義(XI. Justice)

11.正義(XI. Justice)

正義のカードに描かれた女性は裁判の女神とも呼ばれています。
私情を挟む余地のないその表情には、自分を強く律しようとする意志が表れています。

時として「正義」は、人の数だけ存在し得るものです。正義ほど扱いが難しいものはありません。

感情を排する強さと、理性と厳格さを以って正義を貫くことができる人が果たしてどれほどいるでしょうか。

正義のカードが教える「正義・公正・秩序」とは、私たちの「選択と行動、その結果によるもの」であることを、まざまざと突き付けてくるのです。

大アルカナ 11番
宇宙観
※諸説あり
てんびん座(均衡、バランス)
カードからのメッセージ 条件を設定せず一律に同じ数・量を等しくする「平等」とは違い、それぞれの環境や状況などを鑑みたうえで、不正や偏り、狡さ、贔屓のない等しさが「公平」です。

キーワード・キーセンテンス

正義、正義感
感情ではなく理性による正しい判断
調停
秩序、責任
公正、正確
権力、機関
説得力
実際的、実質的
判断、決断、決定
賢明
冷静
遂行、実行
名誉の回復、修復

正義の逆位置

逆位置では、上記のキーワード・キーセンテンスのエネルギーがうまく流れていない状態や過不足を意味します。

歪んだ正義感、ヒーロー願望、救世主願望
独裁的、自己陶酔
一方的、偏った、独善的、依怙贔屓
自己正当化バイアス(正常性バイアス)
正論という名の暴力
決断力に問題がある
客観性、理性に問題がある
責任の所在があいまい

 

ワンポイントアドバイス:
正義のカードに描かれている天秤と剣には、「バランスを取る」という一言では言い表せない重みがあります。誰もが自分の言動には甘い採点になります。「自分の動機は正当である」と思い込み、自分の痛みや損失にばかり目が向くものなのです。正義のカードは時にカルマというものを思わせます。

絵に注目してみましょう

11.正義(XI. Justice)

11.正義(XI. Justice)

正義の女神(Lady Justice)……英語のジャスティス (Justice)の語源は『ユースティティア』。

『ユースティティア』はラテン語で「正義」を意味し、ローマ神話に登場する正義の女神の名前です。ギリシア神話の女神、テミスと同一視されています。


剣とはかり

最高裁判所の大ホールには正義の女神のブロンズ像が設置されています。

裁判所公式HPの説明によると『ギリシャ神話に出てくる法の女神テミスに由来するものであるといわれ,右手には正邪【せいじゃ】を断ずる剣を掲げ,左手には衡平【こうへい】を表す秤【はかり】を持っています。』https://www.courts.go.jp/about/sihonomado/sihonomado64/index.html

ドイツの法学者ルドルフ・フォン・イェーリングは著書「権利のための闘争」のなかで「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」と書いています。

正義の対義語は「悪」ではなく「別の正義」であると言われるほど、正義は極めて扱いが難しいものです。だからこそ、剣と秤の両方が必要なのです。


ふたつの柱……女教皇や法王のカードと似て、ふたつの柱の間に座しています。偏らない判断、均衡、真実の追求。

女教皇のふたつの柱は、この世とあの世・高次元の世界とのつながりを表し、法王のふたつの柱は教会(公的でゆるぎない場所、存在、力)とのつながりを表しました。

正義のふたつの柱は、霊的精神的なものではなく、信仰でもなく、「法の下の平等」という人間が生み出した公正・正義とのつながりを表しています。


王冠……王冠の上部は3つに分かれたデザインになっており、三位一体(さんみいったい)を表しているとされています。三位一体とはキリスト教における重要な教義のひとつで、「父(天地創造の神)」「子(イエス・キリスト)」「聖霊」の三位は同じである、という説です。

聖霊の概念をつかむのが難しいかもしれませんが、日本人には仏性や神性という概念がしっくりくるかもしれません。

私たち一人一人に、「仏性」(ぶっしょう)という仏の本性がある、と言われています。あるいは、自然の山や川に「神性」を見出し、そのなかで生きる人間にも神性を感じる瞬間を得ることがあります。

「我々は、神聖なるものや信仰の対象と分断された存在ではない」という考え・感覚は日本にも根付いています。

また、王冠に描かれている四角形が象徴として表すのは、安定や秩序。四大元素である「火」「土」「風」「水」、四季(春夏秋冬)、方位(東西南北)、キリスト教の象徴「十字架」など4という数字には重要な意味が込められています。

ほかにも、四角が地上、丸が宇宙を象徴するという説があります。


赤いローブから見える白い靴…著者は、カードの登場人物にとって左をスピリチュアルな方位右を現実世界の方位と見る場合があります。(左右についての詳細は愚者カードのページへ

正義を貫こうとする強い意志と情熱の赤いローブをまとった正義の女神から、右足が少しだけ見えています。右足は現実世界を、白い靴の白は純粋・偏見のない・何色にも染まっていない色を表していると著者は考察しています。

アファメーション

人生を調整し回復する働きに、私は心を開きます。自分の人生に責任を持つ勇気と誠意を受け入れます。

まとめ

公正な判断、決断を下すことはいかに勇気がいることでしょう。客観性とは無関心ではなく、強い関心ゆえに全体から把握し、全体を検証することにほかなりません。

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