12.吊された男(XII.The Hanged Man)

大アルカナ22枚

12.吊された男(XII.The Hanged Man)の意味、解釈、リーディング

12.吊された男(XII.The Hanged Man)

12.吊された男(XII.The Hanged Man)

吊された男のカードを説明する書籍に、「ミステリアスなカード」「不可解」「謎めいた」という表現をよく見かけます。

人生において、身動きの取れない状態、ただ時間がすぎるのを待つしかない状況を幾度か味わうことがあります。そんな時は歯ぎしりをしたくなるような、思うに任せないような心持であることが多いものです。

しかし、吊るされた男の表情は涼しく凪いでおり、宗教画のように頭から光を放っています。

彼はなぜそのような境地にいられるのでしょうか。

大アルカナ 12番
宇宙観
※諸説あり
水の元素(波、潮があるので海の説)
海王星説
カードからのメッセージ もし、あなたが「吊るされた男のカードを今ここで再現してみてください」という課題を出されたら、たぶん、広い壁を見つけて、手を床につき足を蹴り上げて逆立ちをするでしょう。上下逆さまの景色やあなたの目の前を通り過ぎる人々に何を思いますか?

キーワード・キーセンテンス

逆さま⇒真逆の選択肢を考える
物理的(肉体的)に不自由なときこそ賢明であれ
身動きが取れない、動きがない、不活発、熟成期間
視点を逆転させる
手だしするのをやめる、委ねる(支配欲や我欲、コントロール欲を手放す)
やらざるを得ない学び・経験
否応なく現実を知る・受け入れる
静観、待つ
諦観
修行、忍耐、鍛錬
自己犠牲、妥協
ふたつのあいだで板挟み
アイディアを溜めておく
スピリチュアル、あの世とこの世のあいだ
幻想、夢想、現実逃避
神秘、潜在意識

吊された男の逆位置

逆位置では、上記のキーワード・キーセンテンスのエネルギーがうまく流れていない状態や過不足を意味します。

著者は、「逆位置は逆さまになるので吊るされた不自由な状態から解放される」とは見ません。一緒に出てくるカードによっては、「解放される」というニュアンスでリーディングすることもありますが、基本的には「吊るされている状況を受け入れられていない」「いつものやり方に執着している」というような見方をします。

受け止めるべき現実から逃避している
自己鍛錬を怠っている
支配したい欲を手放せない
これまでのやり方・パターンにこだわっている
報われない努力を続けている


興味深かった実占例

実際の占いでよく見られるケースとしては、本当は引っ越したい(転職したい)のに、なかなか引っ越せない(転職できない)状況です。「今は身動きが取れません」というリーディングで終わりにするのではなく、「現実を整理し、計画を立てましょう」というメッセージであると理解するといいでしょう。

貯金金額はいくらあればいいのか、何の資格が必要なのか、どのような計画を立てるかを考えるときです。

誰かと誰かのあいだで板挟みになっていたり、仕事を掛け持ちせざるを得なかったりと、2者に絡めとられているような状態のときに出ることもあります。

ワンポイントアドバイス:
「吊るされた男」のカードの反対のエネルギーを持つカードに、「魔術師」や「戦車」があります。
魔術師は、意志を持って創造するエネルギーですし、戦車も外側に向かって行動するエネルギーです。では、「吊るされた男」のエネルギーが完全な静止状態かというと、そうではありません。生きている木につながれた男には生命力があります。

絵に注目してみましょう

12.吊された男(XII.The Hanged Man)

12.吊された男(XII.The Hanged Man)

独特なポーズ……まっすぐに伸びた左足の足首は生きている木に縛り付けられ、右足の膝をくっと内側に曲げています。

両腕は後ろで縛られ、よほど鍛えられた戦士でもなければ自力で抜け出すのは無理でしょう。

足の形は、卍(まんじ)を成す一部であるとか、数字の4を表しているなどとされています。後ろに縛られた上半身の腕は三角形にも見え、下半身の4と上半身の3、カードの番号12、つまり4×3=12という数字からこのカードを理解しようとするタロティストもいます。

4は物質が安定する様子、現実化する様子。
3は創造、生産、成長。

農産物でもアイディアでも同じことが言えますが、生産・成長すること(3)だけでなく、具現化・安定させること(4)までが必要です。

身動きが取れない「吊るされた男」のなかに、生産・成長すること(3)と、具現化・安定させること(4)の暗示が託されており、とても興味深いカードです。

物質面ではなく、精神面や霊性においての「生産・成長(3)、具現化・安定(4)」を意味しているのかもしれません。


葉が茂る生きている木……T字形の木はキリストが架けられた十字を思わせ、それがゆえにこのカードを見る者をなんとなく不安にさせます。しかし、生きている木と男はへその緒のようにつながれ、赤いタイツが示すように生命力を、青い上着が示すように知性をその身に宿らせ、頭脳・精神・霊性は輝きを放っています。

宇宙の視点あるいは、神の視点で見れば、私たちは生命力あふれる地球とつながりながら、時に不自由な肉体とともに懸命に生きている存在なのでしょう。


著者は、葉が茂る生木に吊るされている男を見るとき、この地球で生かされているわが身のようだ、と思うのです。
自分の意志で人生を創造し、窮地から脱し、活路を切り開く。…そんなミクロな観点も人生の事実ですが、自分の力ではどうにもならない宿命や運命…気候や災害、生まれた場所、時代といったものも含めて…それらを現実としてこの身に受け入れるしかない。そのようなマクロ的観点も同時に存在します。

アファメーション

寒い冬のあいだ、まるで眠っているかのような樹木のように、私も春にむけて花の色を作ることができます。

まとめ

公正な判断、決断を下すことはいかに勇気がいることでしょう。客観性とは決して無関心ではなく、強い関心ゆえに全体から把握し、全体を検証することにほかなりません。

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