3.女帝(Ⅲ.The Empress)の意味、解釈、リーディング
女帝 The Empress(エンプレス)のカードは、目には見えないけれども確かに巡ってくる周期(生命のサイクル)をこの物質世界に具現化させ、抽象的な[女性性]を現実の生活のなかに息づかせていることを表します。
女帝は「生命を育む力」を存分に発揮します。
大アルカナ | 3番 |
宇宙観 ※諸説あり |
金星(愛、美、楽しむ、調和、実存) |
カードからのメッセージ | 女帝と女王の違いはなんでしょうか?異なる言語、通貨、宗教、民族、文化、法……多様な国家を統べる立場にあるのが皇帝・女帝です。そういえば、家庭も職場も多文化国家の集まりですね。 |
キーワード・キーセンテンス
女帝の逆位置
逆位置や正位置でも周囲のカードによっては、上記のキーワード・キーセンテンスのエネルギーがうまく流れていない状態や過不足を意味します。
行き過ぎた満足感、「もっともっと」と貪欲に過剰に求めることや、そこから浪費や肥満、怠惰の意味も。
また、放任、退廃的、過保護、過干渉、親切なつもりの余計なお世話などの意味としてリーディングする場合があります。
物理的な豊かさへのダメージ、自然問題を表すこともあります。
絵に注目してみましょう
女帝の冠は、12個の輝く星が12星座を表します。
月桂冠は太陽神アポロンを象徴し、栄光、名誉、知恵を表します。常緑樹である月桂樹は生命力に溢れています。
首飾りは宝石(あるいは真珠)が7つ並んでいます。冠は12カ月を表し、首飾りは1週間を表しているのでしょう。農業や漁業と暦は切っても切り離せません。女帝は地母神、豊穣の神そのものです。
右手に掲げている黄金の笏(しゃく)は、女帝が治めているこの世界(地球)を表しています。
女帝が来て着ているゆったりとしたドレスにはザクロが描かれています。女性性を支援するザクロの絵柄をその身にまとう女帝。
それが意味していることは、女帝は物質界の存在であり、そして現実を知る大人の女性だということです。
ザクロについての詳しい説明は女教皇のページをご覧ください。
女帝の右足元にあるハート型の石は、心・心臓を表します。
金星のマークは愛・美を意味します。また、月桂冠は太陽神であり芸術の神であるアポロンの印。金星(ヴィーナス)と月桂冠の組み合わせから、女帝は芸術と美を人生の伴侶とする愛情に満ちた心の持ち主なのです。
女帝は、女帝にとって左方向に体を向けています。著者は、カードの登場人物にとって左をスピリチュアルな方位、右を現実世界の方位と見る場合があり、女帝はそのケースに該当します。(左右についての詳細は愚者カードのページへ)
水はスピリチュアルな方位の左から流れてきます。この物質界に愛を持って豊穣を実現させる意思は右手に掲げられた王笏に、情熱は右足元にあるハートと金星マークに表れています。
また、右足(現実世界)の赤い靴(生命力)が少し見えています。しっかりと地に足のついた世界です。
森の中を流れる川は、潤下(じゅんげ)し大地を養います。この清水は女教皇の背後に広がっていたあの水です。霊性の世界から物質の世界へ流れてきた水は大地と出会い、植物を豊かに実らせ、家畜を栄えさせるのです。
カードの中に入り込んでみましょう
女帝は豊かな自然の景色と多種多様の実りを眺めて実に満足そうに寛いでいます。
母なる大地、母なる海───自然界そのものは個々の命に介入しません。ただ、そこに雄大に恵みをたたえているだけです。
女帝は生命を支配したり、整備したり、選択しません。身ごもった命をこの世に送り出しますが、その命が自分の力で生きていけるように、過剰な関りはしないのです。女帝のエネルギーは自分と自分以外のエネルギーを融合させ、身ごもり、この世に生み出すものなのです。
3.女帝の世界観
3という数字には天と地の気が出会い融合することで万物が生み出される意味があります。自然の恵みや農作物、父と母と子といったように、生命が豊かに栄えていくのを女帝は女性性として象徴します。
女性性は直接の妊娠、出産を指すばかりではありません。女教皇と同じく[周期]を表していることは12個の星が輝く冠を見るとおりです。古代人は天体を観察し、月の動きから12か月という周期を知りました。
黄色や赤色といった生命エネルギーに満ちた女帝のカード。自然の周期(春夏秋冬や海の満ち引き)のなかで、生命は増え満ちていくのです。
アファメーション
まとめ
自然界を見てもわかるように、母なる大地・母なる海はいつも穏やかというわけにはいきません。ときに、畏ろしい姿を見せます。生み出す神は、そのエネルギーと同等の破壊的なエネルギーを内包しているのです。
日本の神道では、神々の両面性を荒魂(あらみたま)・和魂(にきみたま)として祀ってきました。女性性は決してか弱いものではないのです。